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旅のサポーター齊藤洋司のブログ                          「親孝行旅」(22.09.15)

トラベルサポーターをやっている中で、いろいろな経験をしました。

 その中の一つが、千葉のMさん家族のお話です。

 旅行社から依頼があり、東京駅から新潟までの一泊二日の旅です。家族はMさん(70才過ぎの男性)結婚している娘さんと旦那さん。千葉県から、介護タクシーでやってきました。Mさんは車椅子です。ゆうに80キロぐらいある大柄な方です。総勢3人、そこに私が加わっての旅です。

 Mさんは娘さんのお父さんで、特養で暮らしています。お母さんは別の特養で暮らしているそうです。

 旅の目的は、むかし住んでいた新潟を訪問し、行きつけだったお寿司屋さんに行くことです。娘さんが小さい時、よく行ったそうです。

 そのMさん、新幹線の座席に座ると開口一番「シャバに出てきた」こう述べました。これでお分かりのように、ホームの生活に飽き飽きしているのです。体つきからも食べることが好きな様で、駅弁をガツガツ食べだしました。糖尿病も患っています。私の想像ですが、特養の生活は決まった食事ですし、生活も決められています。これが窮屈に感じたのでしょうか。今の特養はわかりませんが。どうしても管理が優先されます。

 新潟駅に着くと介護タクシーで市内を回りお寿司屋さんへ。

娘さんが「わたし小さい時、よくここに来ました。親が来るのを待っていたこともあります」と、カウンター越しに話をしています。その当時、家族にとって憩いの場所だったのでしょう。

 万代橋近くのホテルに泊まり、夜中トイレ介助です。とっても一人では誘導できないので、旦那さんと二人で介助しました。

 帰りもMさんは食欲旺盛で、ほとんど食べていた記憶です。そして東京駅に着きました。

 当時、駅構内は大工事中で、車椅子用トイレも数がありません。駅の中の地下を走り、出発時の南口トイレまで、やっと着きました。

使用中で「お母さん、鍵をあけてー」娘さんがドアーの外から騒いでいます。中にいる母親が、開け方がわからないのです。

私のほうは切羽詰まっています。Mさんが便意をもようしています。イライラしながら待っているのですが、どうにもなりません。

やっと開いて入った時には「ジーエンド」私と娘さんで始末に追われました。仕方がありません。私の洗いざらしのパンツと、前日はいていたズボンで処置しました。そして介護タクシーで千葉に帰って行きました。

「新潟の思い出を辿る旅」この家族とって得がたい旅になったと思います。大変でしたが、もう2度とない経験かもしれません。

「旅はいつでも出来る」しかし、行動しなければ思い出になりません。きっと良い親孝行旅になったと思います。早く親を亡くした私にとって印象に残る旅でした。

親が元気なうちに「親子で旅をして温泉につかりながら、小さい時などの思い出を語ってほしい」これが私の願いです。

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