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四国お遍路・旅のサポーター 齊藤洋司のブログ                      「お接待」(22.08.05)

 「四国お遍路」をしていると、お接待があります。同行二人と書かれた菅笠と、白装束で金剛杖をついて歩いていると、お接待にあうことがあります。

 お接待の習慣は、定かではないのですが、昔からあったようです。自分は、お遍路に行けないが歩いている人に託すとか「ご苦労様、お疲れ様」という意味合いもあるかもしれません。

 最初の車いすでの団体お遍路では、ほとんどありませんでしたが。一人歩きお遍路では、何回かお接待を受けました。八四番屋島寺に向かう朝のことです。地元の人達が屋島寺に登って、体操をしているのです。この中の、お一人の方からお接待で500円いただきました。

 次に八五番八栗寺に行く途中のことです。ロープウェイ乗り場を過ぎたところで「どうぞ寄ってらっしゃい」と女の人が声をかけていました。てっきり土産物屋さんの呼び込みかと思ったら「お接待」なのです。普通の民家の縁側で、お茶とコーヒーゼリーをいただきました。「仁庵」榊原さんがやっているお接待所です。お接待をしていただくと、「私は、こうゆうものです」と納札を置いてきます。それが7年後、再びお接待を受けた時、ノートに貼ってとってあったのです。びっくりすると同時に、嬉しくなりました。お遍路で疲れた体にお接待は、身に染みるものです。

 何番のお寺に向かっていた時だか忘れましたが、道連れの人と一緒に歩道を歩いていたら、立ち話をしていた人が、跳んで家に戻り、お菓子と飲み物を持ってきてくれました。

 三四番種間寺の向かい側に、金属でできた像が幾つも並んでいる家がありました。見ていたら家の主人が出てきて、中にもあるから見て行けと呼び込まれ、坂本竜馬の彫刻から絵画までありました。鉄を加工して作った黒光りした像は、迫力がありました。途中コーヒーをご馳走になり、清滝寺まで車で送ってもらいました。

 このように車でのお接待は、幾つかあります。車社会の象徴でしょうか。民宿の送り迎えです。又、民宿で同宿になった人が、明日「四六番浄瑠璃寺まで行きますが一緒にどうですか」この方は、姫路の方で「四回ほど歩きで回ったが、今回は車で来ました」と話していました。私はナマクラなのでラッキーぐらいの気持ちで車に乗りますが。きちんとした人は、翌日、乗せてもらった所まで戻って歩き出すそうです。ただ気を付けなければならないのは事件です。私は直接見聞したことはないのですが、ネット上では注意が載っています。「親切心に車に乗っていったら、暴行されそうになったとか」特に女性は充分注意して「他山の石」として下さい。どうしても一人で歩いて疲れていると、親切心が身に沁みます。都会でも、お遍路でも悪い人はいます。事故が起きてからでは遅いので心しなければなりません。

 最後にとっておきのお話があります。八八番大窪寺を結願し徳島に出ようとJR志度駅脇のコンビニに入って、買い物をした時です。外国人の女性が話しかけてくるのです。盛んに英語で話しかけてくるのですが、わかりません。そして困っていたらレジの青年(ベトナム人?)が私に「お接待」をしたいと言っていると通訳してくれました。その中年の女性はカナダ人で、足を痛め、これからは車で回るような話をしていました。私が英語を喋れるなら、もっとお話ができたのでしょうが。その方が「私の買い物分」を払ってくれたのです。きっと各地で「お接待」を受けてきたのでしょう。それで私にしてくれたのだと思います。

  四国には、お接待文化があります。私は四国の人間でないので大きなことは言えませんが。「訪れる人をもてなす」「人と人がつながる」これは大事にしたい事だと思います。おそらくフランスからスペインへ歩くサンティアゴ聖地巡礼でも、このようなことはないのではないでしょうか。私が歩いたコロナ以前では、外国人の方が半数以上いました。スマホと英語の道案内を開きながら、歩いているのです。ほんのちょっとのことで、旅が楽しくなる。これからの観光日本が進む道のような気がします。『四国お遍路』を世界遺産にとの声も出ています。 

 こんなこんなで、私の「四国病」は収まる気配がありません。コロナが解決したら出掛けたいと思っております。

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