2023年10月29日:旅のベテランサポーター【齊藤洋司のTopics】 「お遍路日記」高知編 第3章(高知県後半) その2 [23/12/29up]
10月29日(日)
朝本堂で説教、その後食事。出発はいつもより遅れた。峰の上から市野瀬遍路道の山道を歩き、56号線に出る。市野瀬の民家でペットボトルのお接待。家の人と話をして情報を聞き、納札を置いてくる。その後歩いていたら車が止まり、ペットボトルとラムネ粒のお接待。
土佐佐賀に入らず56号線を歩く。民宿「白浜」で「なずな」で一緒になった福岡の岡田さんと泊まる。この方は76歳で10回もお遍路をしている。
10月30日(月)
朝4時半に目が覚める。店は休みとのことで前夜に作ってもらった「おにぎり」を食べ、岡田さんより先に、夜が明ける前に歩きだす。海を見ながら四万十川沿いの民宿へ。(普通の民宿だが、一番料金が高かった)
10月31日(火)
四万十川を渡り、下流に下り、伊豆田道歩き真念庵へ。山道で誰一人会わず、321号線に出て下ノ加江で休憩。大岐の浜を見ながら以布利の民宿へ。途中、北海道富良野市の50代の人と立ち話。「秋になったらまた、来ます」と言っていた。この民宿はベジタリアンに対応するので、ホテルや旅館からも問い合わせがあるらしい。
11月1日(水)
足摺岬まで距離も近いので油断していたら、寝坊する。前夜からの若い女性は出発していた。
以布利漁港で、朝の水揚げを見る。「鯵」のような魚がたくさんあがっていた。そこから海岸に出て波打ち際を歩く。波に足を捕らえられそうになりながら、山道へ。林を抜け道路を歩くが足が進まない。近いと思って気を許しているせいか。歩けども、歩けども先が見えず。左側には雄大な海が。アメリカまで届きそうな海が洋々と広がっている。これだから海側を歩きたい。
「秋遍路 太平洋を 一人占め」
足摺岬に12時半に到着。食堂でうどんを食べ38番金剛福寺へ。思えば57年前、ユースホステルで泊まった御寺である。あの時も遠かったが、いまだに遠い感じがした。ここまで歩けたことを感謝しながら、戦争が無くなることを祈った。そして今夜の民宿「田村」に。
人気の民宿で、すべてが行き届いていて、食事もおいしかった。おかみさんの魅力だろうか。翌朝には、おにぎりの「お弁当」まで。
11月2日(木)
朝起きてどうしようかと迷った。これから高知県最後のお寺、延光寺まで行くには後2日かかる。本当は龍串まで歩くつもりだったが、私の躰は疲労困憊していた。昨日、朝の寝坊、足摺までの足取り、観光案内所も閉まっていて情報も入ってこない。龍串まで行けても、その先まで行けるだろうか。私は、ここで帰る事にした。バスに飛び乗り、中村駅に出たのである。
毎日の歩行数・距離 民宿の値段(全て2食付き)
10/25 33,169 22,223m 4,000~8,000円
10/26 37,300 24,991m 最低の場合には食事は質素だが、
10/27 35,334 23,674m 充分満たされる。
10/28 41,823 28,021m 高いから豪華だとは限らない。
10/29 36,870 24,703m 人気の民宿や旅館は、
10/30 34,536 23,139m 早くから予約しないと無理。
10/31 42,212 28,282m 外国からの予約申し込みもある。
11/1 25,712 17,227m (2023年10月現在)
11/2 3,613 2,423m (帰京)
後記
お天気に恵まれ、雨が降らずに歩けたことが感謝である。雨が降ったら、無理だったかもしれない。宿泊する民宿はいろいろで、生業としているか、片手間でやっているかで、違ってくるようである。
お遍路で歩いていると「何故、こんな事をしているのだろうか」ふと、思う事がある。しかし帰ってくると、また、行きたくなるのである。これが遍路病、四国病と言われるゆえんかもしれない。
普通2泊3日で行かれるお寺まで、私には3泊4日かかる。足もノロイ。一歩一歩が遅く、次々と抜かれていく。それでも行きたくなる。行ったからと言って「何かを得ることにはならない」それでも行ってみたくなるのである。ただ、歩けることに感謝しかない。お接待や、地元の人とのお話で元気が出てくる。
そして来年、高知県から愛媛県に入り、歩き続けようと思っている。一歩一歩。そして体力と、年齢の闘いが始まる。