2023年10月23日:旅のベテランサポーター【齊藤洋司のTopics】 ユニバサール おもてなし 研修 [23/10/23up]
あなたは街の中で、車椅子の人や、視覚障害の人にお会いしたら、どうされますか。
おおかたの障がい者の方は、自立して行動しています。しかし、街の中には様々な障がい者の方が歩かれています。
私が、車椅子の方々と接点ができてからずいぶん年月が経ちますが、障がい者の方への理解が進んできました。しかしながら、まだまだ理解されていない面が随所に見られます。
パラオリンピックなどもあり、社会の中で障がい者への理解が進んだことは、喜ばしいことです。もっと理解がすすんで「誰もが生きられる社会」が構築されたら素晴らしいことではないでしょうか。そんな理想的なと思う方もいらっしゃるでしょうが・・・。この事は、あなた自身の問題なのです。
人間は生まれてから死ぬまでの間に、色々なことが起こります。それが避けられて、一生を終われれば、こんな幸福なことはありません。しかし、人生、生きている間に、何が起こるかはわかりません。誰もが保証されていないのです。
前置きが長くなりましたが。街の中で、車椅子の方や視覚障害の方を見かけましたら、一瞬立ち止まってみてください。ジロジロと見なさいと申し上げているわけではありません。その時、まわりの環境は大丈夫か?障害物や、自転車など放置されていないか。交差点では、信号が変わるまでに渡れるか。青信号や赤信号が確認できているのか。杖を突いた人が、渡り切れずに立ち往生ということもあります。この時、声掛けや介助があればどんなに助かることでしょう。
電車のホームでは、視覚障害の方の線路上への転落が起きています。そして悲劇が報道されます。転落事故は多いのです。最近ではホームドアーが設置され、改善されつつありますが、まだまだ無いホームもあります。その時「一声」周りの人が声をかけることによって、防ぐ手立てもあるのです。危険なことは乗車位置がわからないことです。その為、車両と車両との間に落ちたり、線路上の転落になります。踏切では、車椅子の輪が線路から脱出できなかつたことがあります。
ここに書ききれませんが、障がい者が危険に遭遇した例はいくつもあります。
それでも、街の中で障がいのある方を見かけたら、何も手伝わなくて良いのです。一見矛盾しているようですが、おおかたの方は自立しているからです。それでも、お手伝いが必要なことがあるかもしれません。その時は、さりげなく「何かお手伝い出来ますか」と聞いてみてください。断れたからと言って、気にすることはありません。健常者の気づかいが大切です。
もしお手伝いを頼まれたら、周りの状況を確認しながら、怪我をしないようにしながら、自分の経験に基づいて動いてください。
「声掛け」だけでも良いのです。危険は避けなければなりません。
私達はいま、車椅子や、視覚障害の方のためのスキルを磨く活動をしています。
毎月1回、都内の名所をガイドしながら、どのように楽しんでもらえるかの講習です。車椅子でも、色々な種類があり、その扱いや、こんな場面、あんな場面ではどう対処するかなど・・・。
実際、車椅子に乗って障がい者の立場で、バスに乗ったり、電車の乗降などを行います。視覚障害を想定して「アイマスク」をして「手引き歩行」を行い、臨場感を感じてもらいます。この講習を受けたからといって、すぐに出来ないかもしれません。又、忘れることもあります。それでも、車椅子を触った、視覚障害の疑似体験をした、この経験は、街の中で「あなたの一声」につながるかもしれません。
障がいと言っても、いろいろなケースがあり、一様ではありません。最近は障がいの介助として、盲導犬、聴導犬、介助犬など犬を連れての姿も見られます。この様に、障がいのある方に対しての、補助や補助具も開発されてきています。お互いに理解が深まり「健常者と障がい者が共生する社会」が育っていくことで社会は明るくなっていきます。
もう一つ、今、問題なっていることは、認知症のかたの行方知れずです。全国で1万5千人以上の方の行方が分かりません。「声掛け」で防げるかもしれません。
世の中が「誰もが生きやすい社会」になっていくことを願っています。
ユニバサールツーリズム総合研究所
研究員 齋藤洋司