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2023年10月23日:旅のベテランサポーター【齊藤洋司のTopics】  「お遍路日記」第2章 高知編 高知県は広かった その1 [23/4/30up]

 私が「四国お遍路に行きたい」と思ったのは60歳を過ぎてからである。調べてみると、大変長い行程であることが分かった。

 全行程、1400キロといわれ、お寺から次のお寺に行くのに、2泊3日かるところもあると記されている。果たして私に出来るであろうか。ためらいと、逡巡の中で日々を過ごしていた。

 その時、K旅行社が「車椅子の人達と行くお遍路」を企画した。下調べのつもりで私は応募し、3年で6回、全行程を結願した。しかし私は、最終章を目の病気で歩けず残念な思いをした。

 あれから10数年、無謀にも全行程歩き遍路で、弘法大師の足跡をたどろうとしている。すでに昨年、徳島県23番薬王寺までを打ち、今回、室戸にある24番最御崎寺から高知のお寺を歩こうとしていた。

(第1日目)

 3月28日(火)バスタ新宿から夜行バスで徳島駅へ、日和佐駅まで電車で行き薬王寺の塔を見ながら歩きだした。

 海岸線55号の道路を歩く。暑いくらいの日差しに桜が満開。一歩一歩足は進んでいく。順調に足を運び牟岐駅近くの喫茶店で昼食。老女二人が出てきて、田舎の喫茶店という風情。しかし文句は言えない。ここの店しかやっていないのである。弘法大師が歩いたであろう旧土佐街道の大坂峠、松坂峠を越え、鯖大師を打ち、坂を上った民宿に着く。宴会も出来るような広い民宿だが、私一人の宿泊、駐車場の桜がこぼれるばかりに咲き誇っていた。

(第2日目)

 7時10分出発。55号線を避け旧街道の漁師町に入る。そこでは倉庫が五,六つ位の大きな網を広げて、20人位の人が網を修理している。今まで見たこともないような大きな網を繕っているのである。昼処が見つからず歩いていると、東洋町役場近くの民宿が、今夜泊まるところである。13時が過ぎている。「食事するとこありませんか」この先に何軒か。しかし「すべて休み」昼飯が食えない。持ってきたお菓子で夕飯まで過ごす。さて明日は何処に泊まろうか。ここまでは予約してきたが、明日から先は・・・。24番までは、まだまだ先である。民宿へ電話する。「満員です」3軒とも断られ、行き場がなくなった。「サーテェ困った」やっと見つけた民宿はトーォイ。そこまで歩けるだろうか。しかし、そこしかないのである。

夕飯を5時にしてもらい、早目の就寝。

(第3日目)

握り飯を作ってもらい朝7時出発。55線の道路をひたすら歩く。強い照り返しの陽射しを受けながら道路をひたすら歩く。左には太平洋の大海原が続く。波間にはキラキラと光が輝く。のんびり歩いていればこれほど良い景色はない。佐喜浜港近くのみかど食堂で、ラーメンを食べる。ここは昔からある漁師町の一角で、古い街並みが続く。そこにドイツからきたライダーが入ってきた。ラーメンを食べ、オートバイで去っていった。1人でお遍路をしているらしい。日本語が上手である。私は昼食後もひたすら歩く。断られた民宿3つを過ぎても、なかなか着かない。足はボウになり、目の前には茫洋と海原が拡がるばかりで、目的地に着かない。ようやく室戸ジオパークに着いた時には、夕5時近くになっていた。ここで一休みして、今夜の民宿の場所を聞くと、まだ2キロ近く先ではないか。ようやくの思いで着いた時には17時半を回っていた。トレラーバスの中に案内され宿泊。宿泊者は私一人、室戸は遠いー。

(第4日目)

きょう始めてのお寺、最御崎寺にお参りする。天気は晴れ、今日も暑くなりそうだ。弘法大師が洞窟にこもって修行したと伝えられる御蔵洞に立ち寄り、御洞の中に入りおまいり。(前回は中まで入れず、入り口で見るだけだったが)その先の登山口から室戸灯台、24番、最御崎寺へ。ようやく着いた。3泊4日かかったが。納経を書く人が、親切に神峯寺への行き方を教えてくれた。津照寺手前の食堂で昼飯を食べ、いよいよ高知で2番目のお寺に。この辺りは「南海地震」が予想され、室津港をはじめ調査が行われている。港は江戸時代、多くの人達によって、手掘りで築き上げた漁港である。今夜の民宿に着いたのは15時過ぎ。本当は金剛頂寺の宿坊を考えていたが、断られ手前の民宿にする。

「26番へ行ってきた人がいますよ」と勧められたが、その気力がない。「行っとけば楽かもしれないが・・・」外国のお遍路さんが何人も泊まっていた。

 翌朝7時出発で26番27番を目指す。金剛頂寺へ上ってそこで昨日一緒になったフランス人と歩いたが、いつのまにか離された。自分のペースで歩くしかない思いながらも、足の速い人がうらやましい。吉良川の古い街並みを歩きながら(街並み指定文化財)55号線沿いのトイレで休憩。ここで落とし穴が待っていた。休憩した時には、荷物の数を確認するのだが。そこに買ったばかりのサングラスを忘れた。気が付いた時には1時間も歩いていた。

 ともかく歩くしかない。足の強い健脚者に何人も抜かれていく。左足が痛くなり、右足も痛くなったりで、足取りは重い。4月と思えない強い日差しが照り付け、ただひたすら歩く。歩いても歩いても、目の前は海。高知県は広い。ようやく唐ノ浜の民宿に着く。ここから神峯寺まで往復8キロ、山の上にある。翌朝、荷物を置いて上ることにして、洗濯、乾燥をすます。前回泊まった時の従業員はいなかった。翌日の宿泊を住吉荘に電話する。電話したら「もう少し手前で泊まったらと」アドバイスを受けるが、ここに決める。そして翌日サプライズが待っていました。

第6日目以降は次回をお楽しみにしてください

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